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【M&A業界転職希望者は必見】M&A中小企業の定義、M&Aの企業価値の算出方法、相場価格の求め方など

日本の企業全体のほとんどを占める中小企業。その企業の3分の1が2025年までに廃業の危機に直面しています。

中小企業とは、どういう企業なのでしょうか?

この記事では、中小企業の定義や、M&Aにおける企業価値の算出方法、相場価格の求め方など、中小企業について解説します。

M&A業界に就職したい人は、ぜひ参考にしてください。

目次

そもそも中小企業とはどのようなものなのか?

ちまたで耳にする中小企業。一般的に知られていますが、その定義などについては専門的な知識を有する人達にしか知られていないかもしれません。

ひとくちに中小企業といっても、その業種によって従業員、会社規模、資本金によって異なります。

中小企業庁の定義では、それぞれの業種が次のように定義されています。

業種分類

中小企業基本法の定義

  • 製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
  • 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

卸売業

  • 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
  • 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

小売業

  • 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
  • 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

サービス業

  • 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
  • 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人                                                                                                                       

日本には、どれくらいの中小企業があるのか

日経新聞によると、2021年6月時点で全国の企業数は367万4000社、民間事業所数は507万8000カ所でした。調査手法の変更により単純比較はできませんが、前回調査(16年6月時点)と比べてそれぞれ5%減っています。また、新型コロナウイルスの影響で、宿泊業・飲食サービス業は42万2000社になり、前回から17%減ったことになります。

コロナ禍の逆風もあり、卸売業・小売業は73万9000社でした。前回の84万2000社から12%減っています。デジタル化やテレワークの浸透を背景に、情報通信業は5万6000社と、前回から3割伸びています。電気・ガス・熱供給・水道業は、16年の電力自由化を受けて5倍超の5000社でした。

引用:日経新聞 「21年の企業数は367万社、コロナを受け飲食・宿泊が減少」2022年5月31日

日本の企業の大半は中小企業に分類されるため、これだけでザッと見ても、全国の中小企業社数は360万社程度は存在しています。

日本では2025年問題に向けてM&Aが急ピッチで行われています。食品業界、とくに外食産業は原材料の高騰化や新型コロナパンデミックにより、軒並み休・廃業を余儀なくされ、先行きの不透明さから大手企業の傘下に入ることを希望している企業でM&Aが活発化しています。

中小企業の評価はどのようにするのか?

不動産の売買をするときに「評価額」という言葉を使います。M&Aの場合は、売り手の企業がどれくれいの価格が妥当な金額なのかを調べることです。

企業の価値はEV(エンタープライズバリュー)と呼ばれる保有資産、収益性、将来性を総合的に考慮して評価されます。

一般的に企業価値は、評価する人や、売り手側、買い手側によっても違う傾向にあります。

M&Aの交渉で、仲介に入るM&Aコンサルタントが最も営業力を発揮するのが、この価格交渉であると言えるでしょう。

もし、双方の希望価格や条件があまりに乖離していたら、成約が難しい場合もあるからです。

このような場合、企業価値は公正な3種類の評価方法を用いて算出します。どのアプローチを使用するによって、企業に対する着眼点も異なるため、評価対象の目的や状況に応じてどのアプローチを使用するかを選択します。

  • コストアプローチ
  • インカム 

どのような場面で企業評価するか?

中小企業の場合、同族会社の承継も少なくありません。このような場面も想定して、企業価値の評価方法を利用する場合は3タイプあります。

相続(事業承継)

株式会社の相続は、全株式を後継者に引き継ぎます。未公開株式には正確な株価がないために、評価方法を用いて企業価値を評価します。

参考:国税庁「財産評価基本通達」

投資判断

金融機関からの融資の場合、判断材料として、企業価値を評価することがあります。
ベンチャー企業に対してベンチャーキャピタルが融資する場合も同様です。

経営戦略の策定

将来の収益性を想定して企業価値を評価すると中長期的な経営戦略を計画できます。

コストアプローチを用いた企業評価

創業から現在までの期間に着目したアプローチ方法です。
成熟企業や衰退傾向にある企業の価値評価や、現時点の企業価値を表すことができます。

・純資産価額法

純資産価額をベースに企業価値を評価方法です。

・年買法

中小企業のM&Aでは非常によく利用される評価方法です。
純資産額にのれん代とよばれる営業権として営業利益5年程度を足し算した金額を企業価値とします。

【 時価純資産 + 営業利益 × 2~5年 = M&Aの相場 】

出典: M&A総合研究所 「営業権を含む時価純資産法」

・時価純資産法

例:時価純資産 2,000万円 + 5,000万円 × 5=3億5,000万円

・純資産価額法

純資産価額をベースに企業価値を評価します。時価と簿価のどちらかを使用します。

インカムアプローチを用いた企業評価

評価企業の将来的な収益性やキャッシュフローに重点を置く企業価値評価方法です。
将来的な収益力をプラスするためM&Aだけでなく、金融機関の投資、設備投資などに利用されています。

DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法とよばれる方法が最も一般的に使用されます。
その方法は、評価対象企業が将来獲得する企業が自由に利用できる資金(フリーキャッシュフロー:FCF)を現在価値に割り引き(ディスカウント)、それを足し算した金額を企業価値とする方法です。

FCFの計算方法は、税引き後の営業利益に減価償却費を足し、資本や投資増価額を引き算します。WACCという割引率を利用します。

【 事業価値 + 非事業用資産の価値 - 有利子負債 = 株主価値 】

出典:経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」

マーケットアプローチによる評価

新設企業で、まだ利益が少ない未上場企業の企業価値評価などに使用される方法です。
相続では、類似業種比準方式という評価方法が適しています。

これらのことから、

【 企業価値 = 事業価値 = 株主価値 】 

という定義が成立します。ただし、この定義は企業に非事業用資産や有利子負債がない場合に限ります。

企業の資産の計算方法

バランスシートには企業の保有資産、企業の負債、各々の差額となる純資産が記載され、左右の各合計額が一致する計算になっています。

【 資産 = 負債 + 純資産 】

売却価格と買取価格はどのように決定される?

M&Aの買収価格を決定するには、売却価格を決める要素を理解する必要があります。その企業価値や事業価値を基に決められる売却価格、買収価格は、最終的には買い手と売り手の両企業の間で交渉により価格あ決定します。

一般的にはこれらの計算式が使用されます。

企業価値と株式価値をみるには

【 企業価値 = 株式価値 + 有利子負債 】

企業価値と事業価値の関係は

【 企業価値 = 事業価値 + 非事業用資産 】

となります。

まとめ

中小企業は、さまざまな業種や資産価値があるため、企業価値の評価や価値は多種多様です。
そのため、出来るだけ正確で納得がいく評価方法で企業の価格を提示することがM&Aを成功させる鍵となります。

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