2021年、M&Aの件数は4000件を超えました。国も中小企業のM&Aに補助金を給付するなど、M&Aで事業承継をすることを積極的にサポートしてます。
さらに、自治体やいろいろな団体もM&Aを推進していますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
この記事ではM&Aのメリット・デメリットをそれぞれ買い手、売り手の立場で分かりやすく解説します。
M&Aのメリット・デメリットを理解したい人はチェックしてください。
M&Aとはどのようなこと?
M&Aをご存じの方も、そうでない方も、M&Aについて、再度おさらいをすると、M&Aは一言でいうと企業の合併・統合・買収です。
2025年問題の解決を前提に、日本国内で急ピッチで進められているのが、後継者がない中小企業の事業承継です。
このまま2025年を迎えると日本の大多数を占める中小企業が廃業に追い込まれ、約22兆円のGDPが失われることになってしまうため、日本経済が大打撃を与えられてしまいます。
M&Aのメリット・デメリットとはどのようなこと?
2025年問題だけに限るなら、M&Aの最大のメリットは「事業の承継ができる」、「中小企業が廃業にならなくてすむ」ことです。
このまま放置しておくと、2025年までに廃業に追い込まれる企業は、日本の企業全体の3分の1にもおよんでしまうからです。
しかし、M&Aのメリットはそれだけではありません。
M&Aは、経営している事業や企業そのものを他社へ譲渡して行われます。その理由は、買い手企業と売り手企業の双方にとって得られるシナジー効果です。
M&Aによる売り手側に対するメリット・デメリットとは?
M&Aを行うことで買い手側メリットとデメリットは以下のとおりです。
売り手側のメリット
- 事業の成長および発展が可能
- 事業承継問題の解決
- 雇用、および既存取引の維持が可能
- 売却で収入が確保できる
- 経営者としての責任から解放
売り手側のデメリット
- 売却や統合に最適な企業が見つからない可能性がある
- M&Aをしても企業の発展につながらない可能性がある
- M&Aにより違う企業になると元の取引先と継続できない可能性がある
M&Aによる買い手側のメリット・デメリット
M&Aによる買い手側のメリットとデメリットは以下の通りです。
買い手側のメリット
- 事業のスピーディーな展開が期待できる
- 商売圏と事業規模の拡大が可能
- 事業の多角化をして弱点の強化することが可能
買い手側のデメリット
- 期待した事業の発展や収益が見込めない可能性がある
- 買収企業の経営状態が赤字の場合にや偶発債務や簿外債務を引き継ぐリスクがある
- 多数の従業員がリストラされるリスクがある
2025年問題解決のために国が実施している解決策
このように、M&Aのメリットとデメリットを理解したうえで2025年問題の解決を図っています。
その対策として打ち出しているのが事業承継補助金です。
事業承継の補助金とはどのようなもの?
事業承継の補助金は、経営者が高齢かつ、後継者が見つからない中小企業に事業承継を推進する政策として給付するものです。
この事業承継には、次のような経営改革の取り組みとして必要経費の一部を補助を目的としたものです。
- 経営者の交代
- 事業再編
- 事業統合を契機
出典:中小企業庁 「令和元年度補正予算事業承継補助金の公募を開始します」
事業承継の補助金は、いくら支払われる?
2022年の補正予算によると
○補助上限額と補助率
(補助上限額) 150万円~ 600万円
(補助率) 1/2 ~ 2/3
事業承継の目的は次のようになっています。
*事業承継・引継ぎに係る取組を、年間を通じて機動的かつ柔軟に支援します。
*補助対象:
・事業承継・引継ぎ後の新たな取組に関する設備投資等
・事業引継ぎ時の専門家活用費用等
・事業承継・引継ぎに関する廃業費用等
引用:中小企業庁 「令和4年(2022年実施)事業承継・引継ぎ補助金の概要」
中小企業の定義とは?
中小企業庁が定義している「中小企業」とは法人税法における定義に基づいています。この定義によると「資本金1億円以下の法人」のことを示します。
しかし、法律や制度によって「中小企業」の定義は異なることもあります。
業種区分 | 法人税法における定義 | 中小企業基本法の定義 |
製造業その他 卸売業 小売業 サービス業 | 資本金1億円以下 | 資本金3億円以下又は従業員数300人以 資本金1億円以下又は従業員数100人以下 資本金5,000万円以下又は従業員数50人以下 資本金5,000万円以下又は従業員数100人以下 |
中小企業は大企業と比べて、様々な税負担の軽減措置があります。
例えば、「法人税率」の軽減税率です。資本金が1億円以下の中小企業には、大企業の法人税より低い税率が適用されます。
事業承継補助金の申請方法は?
申請受付は、電子申請システムのみで取り扱います。補助金は、年間で複数回の公募を行いますが、受付期間が約1か月程度と短期間なので、常に公募期間をチェックする必要があります。
申請書を作成のためにはアカウントが必要
事業承継補助金の申請にはjgrantsという電子申請にて行います。そのために「gBizIDプライムアカウント」の作成が必要で、取得に2~3週間かかります。事前に申請書作成に必要な書類を取得する必要があります。
アカウント登録に必要な書類
アカウント作成には次の書類が必要です。
法務局発行の印鑑証明、または地方公共団体発行の印鑑登録証明書の原本(発行日より3ヶ月以内のものに限る)
- 法人代表者印または個人事業主の実印を押印した申請書
- 法人代表者自身、または個人事業主自身のメールアドレス
- 法人代表者自身、または個人事業主自身のSNS受信が可能な電話番号
アカウント作成
必要書類が取得できたら、「gBIzID」のWebサイトの「gBIZプライム作成」から申請書を選びダウンロードします。
必要事項を入力し、申請書と一緒に印鑑証明書を「GビズID運用センター」に郵送します。
申請書が受理されるとメールでお知らせが届きます。
「URL」をクリックしてパスワードを設定をすれば補助金申請のアカウント作成手続き完了です。
申請書の作成
アカウントが作成できたら、電子申請システム「Jgrants」で補助金の申請できます。
補助金申請には、次の書類が必要です。
法人の場合
- 「履歴事項全部証明書」
- 「直近の確定申告書」
- 「直近の決算書(賃貸対照表・損益計算書)
「経営者交代型」の場合
- 「補足説明資料」
- 「住民票」
- 「認定経営革新等支援機関による確認書事務局が指定した様式で、認定経営革新等支援機関の印鑑があるもの」
- 「申請資格を有していることを証明する継承者の書類」
- 「承継に関する書類」
- 「その他(加点事由に該当する場合)」
これら一式が申請の添付書類となります。
これらの必要書類が1点でも欠けると審査が通りませんので、厳重に注意が必要です。補足説明は、審査通過のために重要になることもありますので、出来るだけ多くの資料を添付して申請することが大切です。
まとめ
M&Aには売り手、買い手にそれぞれメリットとデメリットがあります。しかし、日本の中小企業を救済し、日本経済を守るためにはM&Aが持つ経済効果は莫大なものです。
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