近年、2025年問題を目前にM&A件数が軒並み増加しています。2021年は4,000件を超えるM&A実行で、2022年はさらに増加しそうな見込みです。
この記事では、日本の有名M&A仲介会社5社が手がけたM&A成功事例をご紹介します。
M&A業界に興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
M&Aが増加している理由
企業がM&Aを行う理由として、実際には2025年問題だけではなく、年間の売上高が10億円以上の企業がさらなる成長や事業拡大の戦略のために行うケースも多く見られます。
M&Aが今後増加する理由は売り手側と買い手側で異なりますが、大きく分類して次のような理由が挙げられます。
M&Aの売り手側の理由
- 後継者問題の解消
- 人手不足の解消
- 企業や事業の売却利益の獲得
M&Aの買い手側の理由
- 事業規模の拡大
- 優秀な人材の雇用の獲得
- 新規事業へ参入のための技術・ノウハウの獲得
2022年はどの業界でM&A編成が多く行われる?
ここ数年、あらゆる業界や業種で、さまざまなM&Aが行われています。業種や業界によっては業界再編が活発なものがあります。
今後、どの業界や業種でM&Aが増加するのかについて現状から予想していきます。
医薬品卸・小売業界
この業界で記憶に新しいM&Aが、マツモトキヨシとココカラファインの経営統合ではないでしょうか。ドラッグストアで見られるのは調剤薬局部門を併設している企業が大手ドラッグストアに集約され、毎年売上を伸ばしています。
近年、調剤薬局は人手不足の理由などから業界再編が活発化しています。新型コロナパンデミックなどの影響から、今後は在宅調剤のニーズも増加することから、調剤薬局は大きな変革が必要となり、M&Aも戦略的な事業拡大を希望する企業から、大小さまざまな規模のものが進むことが予想されます。
建設業界
深刻な人手不足や先行きが不安なことから、建設業界は今後ますます業界再編が活発になる業界の1つです。
大きな理由は、事業承継が困難であることであり、典型的な経営者の高齢化と後継者の不在が圧倒的な理由として挙げられています。
特に、地方都市ほど事業の成長が地場では見込めないという理由からM&Aを望む企業が多数みられます。
製造業界
自動車業界は現在、ガソリンカーからハイブリッドカーへとシフトしているため、中小企業は大手の傘下に参入することで事業拡大を希望しています。
製造業界のM&Aの特徴としては、技術提携面で異業種とのM&Aが増加する可能性もあります。
さらに、経営者の高齢化と後継者の不在が後押しして、今後M&Aによる活発な業界再編が進むでしょう。
不動産業界
10名未満の従業員の事業者が9割を占める不動産業界は、業界全体の約半分程度が60歳以上経営者であるため、業界編成が必要な業種です。
不動産業界は、開発・分譲、流通、管理、賃貸の分野があり、中小企業のM&Aは流通、管理の分野で活発に行われています。
さらに不動産におけるIT化が進むなか、将来的にみてもAI、IoT、VR対応など、中小企業が1社で取り組むには技術的にも、資金面でも厳しいことから、今後は不動産業界全体で事業拡大のため、M&Aがより活発になることが予想されます。
物流業界
業界全体の97%が100名以下の中小企業であるのが物流業界です。燃料費の高騰に加えて、従業員の高齢化が最大の問題となっています。
他の業界同様に経営者も従業員と同じく高齢化が進み、さらに従業員が圧倒的に中高年層の男性が多く、若年齢層が少ないのが特徴です。
今後物流業界はヤマト運輸などの大手の傘下に入るための業界再編成が進んでいくでしょう。
IT業界
IT業界はピラミッド型の労働環境となっています。下層に行くほど低賃金、重労働になるため、M&Aにより事業拡大と人員確保を図り、優秀な技術者を自社に抱えこむことに成功しています。
食品業界
食料品業界は2017年ドンキホーテがユニーの株式を40%取得するなど、大手企業同士のM&Aが行われています。中小企業は、専門性がある分野や地元に強い基盤を持つエリアの企業がM&Aを行っています。
外食産業では新型コロナの影響を受け、すき屋を展開しているゼンショーHDが海外で大型M&Aを行ったり、牛角を展開するコロワイドが大戸屋を相手にTOBを成立するなどM&Aを活発にしています。
中小企業は2020年から新型コロナパンデミックにより大打撃を受け、廃業する企業が増大しました。営業時間や入店客の制限の中、原材料の高騰や先行き不安定なために経営安定のために大手の傘下に入ることを希望してM&Aを行う企業が増加しています。
M&A仲介会社5社のM&A成功事例
日本国内で行われたM&Aの成功事例をM&A仲介会社別にご紹介します。
M&A総合研究所
製造業で後継者不在の企業がエリア拡大のために行ったM&A事例です。
譲渡企業 | 譲受企業 |
・業種 産業用機械製造業 ・売上 3億円 ・社長の年齢 70代 ・譲渡理由 後継者不在 | ・業種 産業用機械製造業 ・売上 300億円 ・上場 非上場 ・譲受目的 エリア拡大 |
このような中小企業の後継者不在のためのM&Aも多数案件としてリストされています。
M&Aキャピタルパートナーズ
医療業界同士のM&Aの成功事例です。譲渡法人は眼科をはじめ、複数のクリニックを関東圏で展開していた医療法人で、後継者問題の解決、事業拡大のために経営支援を行う大手企業が譲受企業となりました。
譲渡企業 | 譲受企業 |
・医療法人 ・関東 ・未上場 | ・医療法人経営支援 ・関東 ・未上場 |
近年、調剤薬局のM&Aは件数が増加していますが、医療法人同士のM&Aも件数がみられます。
日本M&Aセンター
不動産の中小企業が、経営安定、人材雇用の安定、事業拡大のために大手上場企業の傘下に参入したM&Aの成功事例です。
譲渡企業 | 譲受企業 |
・社名: 株式会社VALOR(神奈川県) ・事業内容: 不動産仲介・管理 ・売上高: 約4億円 | ・社名: 株式会社AMBITION【東証マザーズ上場】(東京都) ・事業内容: 不動産管理 ・売上高: 約100億円(連結) |
不動産、建築業界も後継者不在や先行き不透明なためにM&Aの需要が増加している業界です。
M&A DX
元々のソフトウエア企業であったが、現在では別事業がコアになったためソフトウエア事業を入札方式により製造業に譲受した成功事例です。
譲渡企業 | 譲受企業 |
・T社 ・ソフトウェア開発 ・関西地方 | ・X社 ・製造業 ・東海地方 |
ITと製造業の異業種のM&Aです。製造業も中小企業が多いためM&Aの需要が多くあります。
M&Aベストパートナズ
製造業同士のM&Aにより後継者問題の解決、先行不安の解消、事業の拡大と成長を達成した成功事例です。譲渡企業は専門分野に特化した企業で、譲受企業が譲渡企業をグループ企業として他社との差別化に成功しています。
譲渡企業 | 譲受企業 |
・業種 土木 ・エリア 関東 ・売上高 数億円 ・経営権 代表取締役社長 ・年齢 50代 | ・業種 土木 ・エリア 北陸 ・売上高 数十億円 ・目的 エリア拡大 |
建設業動詞のエリア拡大のためのM&Aです。建設業も後継者不在のためにM&Aラッシュが見込まれる業種です。
まとめ
近年、日本国内で大企業によるM&Aが目立ちます。特に食品業界の外食産業は2020年以降、新型コロナパンデミックによる大打撃を受け、業界編成を余技なくされています。
2022年以降も、さまざまな業界、業種でM&Aが活発に行われることが予想されます。
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