M&A業界は深刻的な2025年問題に向けて、打開策としてM&Aを積極的に推進して、中小企業の廃業を1社でも多くの救済に取り組んでいます。
M&A業界の求人、採用とも増加の一途を辿っています。
この記事では、M&A業界初心者とM&Aを検討している経営者がM&Aの流れがどのように進むのかについて分かりやすく解説します。
M&Aの流れについて理解したい人は、ぜひチェックしてください。
M&Aのために最初に必要なことは?
M&Aを行うとき、最初にすることは「M&Aの目的」の明確化です。
目的が明確でないと、最終段階に達するまでにズレが生じてしまい、M&Aが達成できなくなってしまうからです。
スムーズなM&Aを行うために、社内の体制を整えることも大切になります。
目的が決定したらM&A仲介会社かM&Aサイトかを決定
日本のM&Aは、海外で行われる敵対的M&Aとよばれる企業トップの同意なしに行われるタイプとは異なり、ほとんどが同意に基づいて行われる友好的M&Aです。
そのために、最初に必要なことは企業同士が自社にふさわしい相手企業を探すことで、これを「マッチング」とよんでいます。
M&A仲介会社やM&Aサイトは、このマッチングする企業を探します。
M&A仲介会社とM&Aサイトの違い
M&A仲介会社を選択した場合、次のようなステップとなります。
依頼企業とM&A仲介会社の間で契約書を締結
中小企業のM&Aでは、一般的に2種類の契約を結ぶ形式がとられます。
・提携仲介契約…M&A仲介会社によっては、「FA契約」や「アドバイザリー契約」ともよばれます。依頼する業者の業務範囲や、報酬を決めるための契約のこと。
・NDA…一般的に「秘密保持契約」とよばれる。情報漏えいを防ぐ目的の契約。機密情報に関して交わす契約書。
M&Aは企業の機密情報を多く取り扱うため、NDAの締結は必要不可欠です。契約内容にNDAが含まれていない場合には、相談する企業に予め確認を取ることが重要です。
必要資料の提供とノンネームシートの作成
M&A仲介会社は、依頼を受けた売り手企業の基本概要や希望条件を記載したノンネームシートという資料を作成し、買い手候補となる企業に提出します。
この時点では、抽象的な企業情報のみが記載されているので、どこの企業なのかを推定することは困難です。
依頼企業は、M&A仲介会社に買い手企業を探してもらうために自社の基本情報など必要な資料提出します。
M&A仲介会社はマッチングを重視する
M&A仲介会社はM&Aコンサルタントとよばれる企業の間に入って、価格や希望条件など決定するために仲介役の担当者が双方の仲介を行います。
一般的にM&A仲介業者は自社のデータベースに多数の依頼案件を保有しているため、データベースに登録された企業から、その企業にふさわしいと思われる企業をリストアップして買い手企業と売り手企業に提案します。
近年ではAIの技術を活用してリストアップを行う仲介会社もあります。
AIを活用している会社では、自社が取り引きしたM&A成約事例のデータを活用して、その企業が保有している膨大なデータの中からAIが過去の成功事例を分析してリストアップします。
マッチングすると予想されるリストをM&Aコンサルタントが買い手にな企業にM&Aを提案します。
これがM&A仲介会社が企業が登録後に行うファーストステップです。
その後、M&A仲介会社のコンサルタントは買い手候補となる企業にリストを提出します。
企業名などを公開するネームクリア
M&A仲介会社は、買い手企業に対し、売り手側が企業の経営について重要な情報を提供します。このことをネームクリアとよんでいます。この際、買い手企業に対し、売り手企業の経営状況や強みや魅力などを伝えます。
売り手企業は会社が売却される情報が社内に広まると、取引先や従業員が不安になることもあるので、ネームクリアは慎重にどの時点で行うのかを決定することが重要になります。
マッチングしたらトップ面談へ
買い手企業が売り手企業に興味を示した段階で、双方のトップが対面で交渉を行う「トップ面談」に進みます。この段階が最も重要なプロセスで、トップ面談の如何によってM&Aの安否が決定されるので、M&Aコンサルタントは全力を注ぐ場面でもあります。
双方のトップが納得するまで条件交渉は行われます。
M&Aサイトはどのようになるのか?
一方、M&AサイトはM&Aを希望している買い手企業と売り手企業がプラットフォームを使って、自社にふさわしいと思われる企業をそれぞれが自分で探すことができます。
M&A仲介のコンサルタントを介さない分、双方がハンドルネームを使用して直接相手企業に交渉できるので、対面交渉にスピーディーに進めることが特徴です。
その後、条件の合意に達したら成約となります。
相手先企業が見つかったら契約の締結
M&A仲介会社、M&AサイトのいずれかでM&Aの取り引き先が見つかったら契約の締結を行います。
契約締結からの流れ
M&A仲介会社、M&Aサイト、いずれの場合においてもM&A取り引き先の企業が見つかり、双方の合意に達したら、いよいよ契約書を締結します。
M&Aを行う意思表示をしたら、次の契約書を締結します。
・基本合意契約
・秘密保持契約
M&A仲介会社によっては、この時点で中間報酬を支払う会社もあります。
報酬の詳細については、M&A仲介会社との契約の際に確認が必要です。
契約の際に、「独占交渉権」と「買収価格」について注意を払う必要があります。
もし、独占交渉権が基本合意書の中に含まれていると、双方の企業が他社とは一切交渉できなくなります。
売り手企業が買収価格に法的拘束力を持たせた場合、万が一、売り手側の経営状態が悪化しても買収価格を変更できなくなります。
M&Aが最終的に完了するまでは、いかなる事態をも配慮をして、法的拘束力を持たせる範囲はどこまでにするのかを慎重に決めることが重要です。
一般的にM&Aの基本合意までは平均2か月程度といわれているため、綿密な計画が必要となります。
各専門家チームによるデューデリジェンスの実施
買い手企業が売り手企業が提出した資料に基づき、正しいかどうかと見極める工程をデューデリジェンスといいます。
M&A仲介会社は、社内の専門家チームに依頼してデューデリジェンスを行いますが、M&AサイトでM&Aの相手企業を見つけた企業は、マッチングまでしかできないので外部の専門家に依頼してデューデリジェンスを行う必要があります。
いざM&Aを執行して、後で負債が発覚したり、雇用問題で裁判になるなど思わぬ出費にならないように、デューデリジェンスは必ず行うことがM&A成功を左右することにもなるでしょう。
専門家チームが問題なしと判断したら最終段階へ
デューデリジェンスを実施し、専門家チームが問題なしと判断したら、いよいよ最終段階へ向けての交渉を行います。
この段階では、買収価格や支払い方法、従業員に対する処遇などの詳細についての最終決定段階になります。
その後、最終譲渡契約の締結となります。
M&A仲介会社のコンサルタントはここまで担当 ”クロージング ”
最終譲渡契約を交わすと、次に買収価格の決済や、売り手企業が保有している株券・代表印の引き渡しへと進みます。
M&A仲介会社では、契約から引き渡しまで、これら一連の過程を「クロージング」といい、M&Aコンサルタントは、この段階まで担当をします。
M&Aのマッチングのための準備らクロージングまで、M&A仲介会社なら4~5か月程度、早い会社だと3か月で完了するところもあります。
M&Aサイトを利用した場合は、1か月の超スピーディーで完了するM&Aもあるようです。
まとめ
M&Aの流れでは、最初にM&Aの目的を明確にすることから始まり、その後の流れを左右するといっても過言ではないでしょう。
M&A仲介会社、M&Aサイトとも、自社にとって最もマッチングする企業を見つけることがM&A成功の秘訣にもつながります。
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