双方が株式会社のM&Aは、株価が上昇や下落の影響がでやすくなります。株価は会社全体の評価基準を示す重要な指標としての意味も持っています。
この記事では株価算出の方法と評価方法について詳しく解説します。
株価にどのような影響がでるのかについて知りたい人は、参考にしてください。
M&Aはどのように株価に影響をおよぼす?
株価には企業価値を示す役割の1つとして利用もされています。
M&Aは株価と連動しているため変動します。
株価への影響は?
M&Aを主に戦略の1つと考えているため、株式会社は事業拡大や進出、さらに成長を促進させるために行います。
新聞に掲載されるような有名な大企業のM&Aの場合、一般的に投資家たちも注目します。
ただし、こうした大企業だけでなく、中小企業でも株価は値動きがあります。
業績、特に売上高やプランド価値、その企業が保有する資産など、さまざまな側面から影響を受けて毎日変動します。値動きには企業の業績などのほかに、各国の経済状況、景気、為替の値動きなども影響します。
投資家の心理なども株価の変動に大きく影響します。企業の業績が好調な発表をすると、株価の上昇が期待されますが、実際には市場が期待するほどの業績ではない場合、投資家は落胆して株を売ってしまうため、この場合は株価が下落しがちです。
このように、日常的に変動している株価は、M&Aでも同様です。
特に、M&Aの買い手企業は新規への事業拡大や、進出などの目的です。そのため投資家はその企業が成長すると評価し、株価が上昇する傾向にあります。
M&Aは株価にどう影響するのか?
大手株式会社同士のM&Aでは、株式市場から期待度が高まるため株価が上昇しやすくなります。
一方、投資家の期待が見込めないM&Aについては株価が下落しがちです。
- M&Aによるシナジー効果が見込めない
- むしろ業績悪化のリスクが高まる
- 資金調達の負債増加の可能性
- 株価が高騰する場合
売り手企業に株価はどう影響するのか?
株価に影響が見られることがあります。投資家がM&A前に売り手企業の株式を買いやすい価格で将来性がある判断した場合、執行後にはプレミアムとよばれる付加価値が上乗せされます。そのため、上昇しやすい傾向になります。
これらの理由により株価は上昇しやすくなります。
- 有力企業による買収
- M&Aが敵対的な理由
この場合、売り手企業が有名企業の傘下に入ることで業績が良くなることを期待され、株価は値動きします。
有力企業による買収の場合は売り手企業が赤字であったとしても、M&Aにより企業が改善すると投資家が評価をするためです。
敵対的M&Aによる買収
買収された企業が買い手企業の株式を売らなくてはならないため株価上昇の傾向が高くなります。一気に株式を買収される場合は、急激な株価上昇の可能性もありますが、その後に低下することもあり得ます。
これは、敵対的M&Aが行われることに対し売却側企業の経営陣の権限を守るための防衛策の措置が講じるためです。
特に、ポイズンピルという手法が使われると株価は下落する可能性にあります。
買い手側企業がそのM&Aを買収を切望している
このような場合、買い手側企業が事業拡大の目的により、売り手企業を取得したい理由でM&Aを行うと評価され、プレミアム価格を上乗せされ取引が行われやすく、上昇しやすくなります。
ただし、M&A執行後に予想していたよりもシナジー効果が得られないなど企業の業績や成長次第で、株価が下落するリスクもあります。
買い手企業の株価にも何らかの影響はあるのか?
一方、この場合の株価は上昇と下落の両方のケースがあります。
株価上昇する場合
買い手企業の影響が大きく、シナジー効果が得られ業績向上と判断した場合には株価が上昇する見込みは高くなります。
また、投資家は、株価が安いうちに株式を購入し、高い価格になると売って利益を得たいと考えて投資をします。将来的に有望と見られた株式は注目され、投資家が株式を購入するために値動きします。
企業の業績がM&A後に好調になると、企業価値も同時に高まり株価が上昇します。買い手企業の株価が上昇するとM&Aの資金調達が簡単にできます。
株価が下落するケース
一方で、M&Aによるシナジー効果が見込めず、業績悪化の場合は株式にも悪影響がおよびます。
投資家の期待が低い理由として最も多いのが買収価格が高額すぎる場合です。後に利益を回収できないリスクを考慮して、その分の損失も大きいと考えます。
次のような場合にも同様です。
- M&Aの株価が高すぎる
- M&Aに必要な資金調達で負債が増える可能性
- M&Aをしてもシナジー効果が得られない可能性
- 買い手側企業まで業績悪化の可能性
買い手企業は、M&Aでは売り手企業の無形資産なども含めて、毎年均等に処理される減価償却も考慮します。M&Aの取り引きで買収価格が高すぎるものは、後のリスクも高くなる傾向にあり、投資家がリスクを避けるためにM&Aの期待と評価が低くなり、投資しなくなる恐れがあります。
その結果として株価が下落してしまうのです。
企業価値を評価する方法
企業の評価方法は上場企業と非上場企業とでは異なります。
上場企業価値の評価方法
企業価値の評価基準は企業のブランド力、事業内容、株式です。
すなわち、上場企業の場合は、証券取引所などの株式市場で決められる株価に企業が保有する株式総数を掛け算して求められます。
企業の株価 × 企業が保有する株式総数=企業の時価総額
この価格が企業の評価の目安になります。
1株当たりの純資産=株価の底値になります。
さらに、将来的に発生する収益の予測を事業内容の価値を付加する方法により求められます。
非上場企業価値の評価方法
明確な指標がないため2通りの算定方式で示されます。
- 資産方式
- 収益方式
これらにより企業価値が評価されます。また、近年、これら2通りを併用する方式も活用されています。
資産方式
企業の資産総額を計算する方法です。資産額から負債額を引き算し、純資産を基に価値を決定します。純資産から負債額を引き算することで市場評価の近似値が算出できます。
この方式により企業の価値が評価できます。一方では、企業の将来的な業績が加味されないので、将来的に企業価値が下がった場合のリスクヘッジができません。
収益方式
将来的な予測を含まない資産方式の欠点を補うために、企業の将来的な収益の予測をプラスして計算する方法です。過去の実績から収益の伸び率に基づき、2タイプの方法により計算されます。
DCF法
将来的に得られるキャッシュフローに資本還元率を当てはめ、現在の価値に割り引く方法です。
収益還元法
将来の収益をを事業計画書に基づいて予測し、計算して企業価値を算出する方法です。
併用方式
資産方式と収益方式のメリットを組み合わせた算出方法が併用方式です。
配当還元方式
この方式は、株主が受け取った配当金などを基準にした株価算定方法で、同族企業の場合などの少数株主が株式を相続、贈与する場合に利用されることが多いのが特徴です。
配当還元法は株価算定方法で、過去1~2年の配当実績などを利用します。
配当還元方式には次の方法があります。
- 配当還元法
- ゴードン・モデル法
- 配当還元法
配当還元法の計算式は次の通りです。
株価=(年間配当額÷資本還元率)÷発行済み株式総数
出典:大和証券「株主資本配当率 (かぶぬししほんはいとうりつ)」
相続や贈与には、国税庁の財産基本通達で定められた国税庁式の配当還元法が利用されます。
国税庁配当還元法の計算式は次の通りです。
株価={(年間配当額÷10%)×(資本金÷50円)}÷発行済み株式総数
ゴードン・モデル法
企業の内部留保と過去の配当実績を考慮して株価を算定する方法です。
内部留保とは、企業が事業拡大や新規設備の投入など会社成長に必要な投資のための蓄えで、投資で将来の売上や利益の増加をするための事業資金のことを示します。
利益の増加は配当金の増加にも影響します。内部留保は株価の評価額に大きな影響を与えるため、将来の利益増加を想定して利用します。
計算方法は次のようになります。
株価=年間配当額/(資本還元率-投資利益率×内部留保率)÷発行済み株式総数
類似業種比準方式
上場企業の類似業種の株価や配当、純資産などに基づいた株価算定方法です。株式の相続や贈与、事業承継をする際に使用されます。
類似業種比準方式の計算式は次の通りです。
株価=類似業種の株価×(a/A+b/B+c/C)/3×斟酌(しんしゃく)率
A:類似業種の1株あたりの配当額
B:類似業種の1株あたりの年利益額
C:類似業種の1株あたりの純資産価額
a:自社の1株あたりの配当額
b:自社の1株あたりの利益額
c:自社の1株あたりの純資産価額
斟酌(しんしゃく)率:大会社=0.7、中会社=0.6、小会社=0.5
まとめ
M&Aを行うと株価に何らかの影響をすることがあります。M&Aの内容次第で投資家にプラスの評価もマイナスの評価を与え、株価が上昇したり下落したりします。
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