2021年、M&Aの件数は過去最多で、今後も需要が増している傾向にあります。それにともない、M&A業界への就職や転職希望者も増えています。とくにM&Aコンサルタントは高額な年収のため、憧れの職業にもなっています。
この記事では、M&A業界にこれから就職や転職を希望する人のために、M&Aについて知っておきたい必須知識を初心者にでもわかりやすく解説します。
M&A業界で働きたい人は、ぜひ参考にしてください。
M&Aとは何をすること?
M&A(エムアンドエー)とは、英語でMergers and Acquisitionsと書き、日本語の意味は合併と買収です。日本語の意味が示す通りM&Aには売り手企業と買い手企業があり、2社以上の企業が1つの企業になったり、企業ないの事業部を売ったり、買ったりすることです。
M&AのMが意味する合併は、経営統合を行う場合もあります。
合併と経営統合の違い
M&Aに関してネットやニュースなどで情報を読んだり、聞いたりするときすべての場合が合併であるとは限りません。M&Aのケースによっては経営統合を行う場合もあります。
この「合併」と「統合」ですが、どちらにも違いが3つあります。
- 合併
- 会社数は減る
- 存続企業以外の企業は消滅する
- システムの統一をしなければならない
- 経営統合
- 経営統合の前後で会社数は増える
- 各企業の法人格は保つことができる
- システムを統一しなくてもよい
合併とはどういうもの?
合併は2社以上の企業が1社になることです。この場合「新設合併」と「吸収合併」の2種類の合併があります。
M&Aで「合併する」場合は、ほとんどが吸収合併のことを意味します。新設合併では、設立する新設会社に全企業の事業と権利、従業員などを引き継ぐ必要があり、登録免許税や許認可関連を再申請をするなどの手続きが必要になります。そのため、膨大な時間と手間がかかるために、外資系などの大手企業以外のM&Aで新設合併を行うことはほとんどありません。
新設合併
複数の会社が集まり新しい1つの会社を設立し、その新設会社に会社の全業務や権利を承継させる合併のこと。
吸収合併
2社以上の複数の企業のうち1社だけを残し、他の企業はすべて吸収させる形態の合併。法人格も消滅し、残る1社で業務や権利を承継させる。吸収合併では残る1社を存続会社、吸収されて消滅した会社を消滅会社といいます。
経営統合とは
経営統合を行う会社が新たな持ち株会社を共同で設立し、新設された会社の傘下にそれぞれの企業が入ることです。新設された会社は傘下に入った全企業の株式を保有と管理をします。
一般的に、全企業の株式の保有と管理をする新設会社は「ホールディングス」となどで呼ばれます。
経営統合の場合は、合併と比較して各企業の横のつながりは弱いのが特徴です
M&Aの種類について
M&Aには、合併と経営統合のほかにも、さまざまな種類があります。さらに狭義と広義の意味でのM&Aがあり、幅広い意味を持っています。
買収
M&Aで行われる買収については、株式取得・資本参加と事業譲渡・資産の2種類があり、それぞれがさらに詳細に定義されます。
株式取得・資本参加
株式取得は相手企業の株式を取得して、その企業の経営権を取得するM&Aの1つの方法です。
株式取得には「株式譲渡」や「株式交換」、「第三者割当増資」、「株式転移」の方法があります。
株式譲渡
この方法は、M&Aの手法の中では、手続きが簡単なために時間や費用を抑えることができるため、中小企業同士のM&Aの全体の4割を占めています。株式譲渡では、買い手側企業が売り手側企業に対価を支払います。
株式交換
株式交換とは、親会社となる買い手側企業の子会社となる売り手側企業の発行済みの全ての株式を親会社に集約し、子会社の株主はその対価として親会社の株式や現金を取得する方法です。
株式交換を行った後には親会社と子会社として、両企業の間には100%支配関係が生まれます。
第三者割当増資
企業の資金調達方法のひとつで、 特定の第三者に新株購入の権利を与える増資方法で、既存の株主以外の人が行います。既存株主ではない特定の第三者に新株の購入権利を付与する増資 のことです。
企業の資金の調達手法は主に増資と融資があります。
- 増資: 新株の発行により新たな資金を調達する方法。増資には、株主が払込金を受領することなく新株の購入に割り当てる方法の無償増資と株主あら振込金を受領し、新株を割り当てる増資の有償増資に分かれます。その他、第三者割当融資には、株主割当増資と公募増資の2種類があります。
- 融資:銀行などの金融機関から資金を企業に貸し付ける方法。
株式移転
株式譲渡により、全ての株式を新規設立の株式会社に取得させるためのM&Aの1つの手法です。全株式を新しく設立する株式会社に取得させ、会社法上の組織再編行為をします。新設の会社は100%株式を取得するために株式を移転した企業とは親会社と子会社の関係となります。株式移転を行うと、親会社となる企業は新設企業になり、傘下に入った小会社はすべて子会社となります。
会社分割
会社分割も協議のM&Aの手法に含まれます。
この方法は事業部を切り離して、他の会社に売却する方法でグループ企業の再編で使用される方法です。M&Aの似た手法に株式譲渡がありますが、大きな違いは新設分割で株式交付を対等に用いることが可能です。 事業部を分割承継する会社からは、包括的にその事業に関連する資産、権利義務、許認可、組織、人材などを承継することができます。
さらに、会社法で定められている所定の要件を満たすと、適格組織再編成の会社分割方法だと認められ、買い手側企業は税制上、優遇措置を受けることができます。 企業グループの組織再編の方法として会社分割はよく用いられる方法です。
会社分割には、吸収分割と新設分割の2種類があります。これら2種類の大きな違いは、分割承継をする会社が新設会社か既存の会社かの点です。
吸収分割
会社の一部、または全部の事業を、既存の違う企業に引き渡し、承継する方法です。吸収分割には、次の2種類があります。
・分社型吸収分割
・分割型吸収分割
分社型吸収分割
事業を引き渡し、対価を売り手側企業が受け取る場合は分社型吸収分割です。分割した事業の売り手側企業が、対価として買い手側企業の株式を受け取った場合、売り手側企業が株主になります。
売り手側企業と買い手側企業の親子会社関係を築くためによく用いられます。
分割型吸収分割
事業を引き渡した対価を、売り手側企業の株主が受け取る場合は、分割型吸収分割となります。買い手側企業の株式を売り手側企業の株主が対価として受け取ると、株主は売り手側企業と買い手側企業両方の株式を保有します。
売り手側企業と買い手側企業の横の関係を築く際に分社型吸収分割は、よく用いられます。
新設分割
会社の一部、または全部の事業を、新しく設立した会社に引き継ぐ手法です。
これらの違いも同じく、引き渡した事業の対価のもらい先で変わります。
分社型新設分割
事業を引き渡し、対価を売り手側企業が受け取る場合、対価として新設会社の株式を受け取り、新設会社の親会社となります。
持株会社化する際などに適しています。
分割型新設分割
事業を引き渡し、売り手側企業の株主が対価を受け取る場合、新設会社の株式を受け取り、売り手側企業と新設会社両方の株式を保有します。
グループ企業の再編を行う際に適しています。
共同新設分割
2社以上の売り手側企業が、各々事業を分割し、新設会社に引き渡す手法です。
この場合、新設会社はグループ企業の親会社と子会社から、切り離された事業の一部をそれぞれ新設会社に引き継ぐことになります。
まとめ
M&Aには、様々な種類があります。M&Aの基本的な方法を理解して、M&A業界で働きたい人は、公式サイトなどを定期的にチェックしてチャレンジしてください。
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